けいれん
けいれん

けいれん(痙攣)とは、脳の電気活動が一時的に乱れることで、体が急にこわばったり、手足がガクガク動いたり、呼びかけに反応しない状態になることをいいます。突然起こるためとても驚きますが、子どものけいれんの多くは短時間で自然に治まり、適切に対応すれば大きな後遺症につながらないことも少なくありません。一方で、原因によっては緊急性が高いこともあるため、「まず安全を確保し、時間を確認し、必要な受診につなげる」ことが大切です。
けいれんには大きく分けて、次のような種類があります。
熱性けいれんは、生後6か月から5歳ごろに、38℃以上の発熱をきっかけに起こるけいれんです。子どもの脳は熱の影響を受けやすく、かぜなどの感染症による発熱の“上がり際”に起こることが多いとされています。日本では比較的頻度が高い病気です。
多くの熱性けいれんは数分以内に自然に止まり、止まった後にしばらく眠そうにする(ぼーっとする)のはよくあります。ただし、同じ発熱の経過の中で何度も起きる、片側だけで起きる、長く続くなどの場合は、追加の評価が必要になることがあります。
発熱に伴うけいれんの中には、まれですが脳炎・脳症、髄膜炎などの重い病気が隠れていることがあります。目安としては、けいれんが長く続く、けいれんが止まってもいつまでもぐったりしている、意味のわからない言動が続く、嘔吐が強い、呼吸や血圧の変化が疑われるなどのときは、急性脳症などを念頭に早急な受診が必要です。
てんかんは、脳の神経細胞が過剰に興奮する状態が繰り返し起こり、発作を反復する病気です。発作というと全身のけいれんを想像されることが多いのですが、実際には、体の一部だけがぴくつく、ぼーっとして呼びかけに反応しない、口をもぐもぐさせる動作が出る、急に力が抜ける、など多様な形があります。発作の起こり方が「毎回似ている」ことも特徴のひとつです。
てんかんには原因や年齢によりさまざまなタイプがあり、子どものてんかんの多くは明らかな脳損傷がなくても起こり、治療に反応しやすいタイプもあります。一方で、治療を工夫する必要があるタイプもあるため、「発作の内容を丁寧に整理し、必要な検査につなげる」ことが大切です。
国際的には、てんかんの実用的な定義として「原因のはっきりしない(誘因のない)発作が24時間以上あけて2回以上」などが基本に置かれています(例外的に1回でも再発リスクが高い場合はてんかんと扱うことがあります)。
熱がない状況でけいれんが起きた、同じような発作が繰り返される、けいれん以外の“発作らしい”エピソード(急に反応がなくなる、同じ動作を繰り返す等)がある場合には、てんかんを含めた評価を考えます。初回発作の段階では、失神やふるえ、息こらえ(泣いた後に力が抜ける)など、けいれんに見える別の状態もあり得るため、発作の前後の状況を含めて診断を整理していきます。
頭部外傷の後にけいれんが起きた場合は、たとえ短時間で治まっても、脳しんとうや頭蓋内の損傷がないかを含めて評価が必要になります。海外の小児救急ガイドラインでも「外傷後けいれん」は画像検査を含む評価の対象として扱われています。
また、頭をぶつけた直後は元気そうでも、時間が経ってから症状が変化することがあります。外傷後に嘔吐を繰り返す、ぐったりする、歩き方や会話がいつもと違う、強い頭痛が続くなどがある場合も早めの受診をおすすめします。
発熱に伴うけいれんの多くは熱性けいれんですが、まれに脳炎・脳症、髄膜炎などが背景にあることがあります。急性脳症については、厚生労働省の患者・家族向け資料でも、嘔吐、意識障害、けいれん、呼吸や循環の変化などがみられる“危険な状態”であり、けいれんが長く続く、けいれん後もずっとぐったりしている、意味のわからない言動があるといった場合は速やかな受診が勧められています。
脳炎(脳の炎症)の一部では、数日の経過で意識障害が進んだり、けいれんが目立つこともあり、症状が強い場合は緊急対応が必要です。
このような病気を完全にご家庭で見分けることはできません。「けいれんが長引く/繰り返す」「止まった後も普段に戻らない」「ぐったりが強い」「呼びかけへの反応が乏しい」などがあれば、早めに救急受診につなげてください。
けいれんは一度きりでも不安が大きい出来事です。当院では、まず「熱があるか」「どのくらい続いたか」「止まった後の回復はどうか」を確認し、熱性けいれんが疑われる場合には、今後同じ状況になったときの対応まで含めて説明します。必要に応じて、重症疾患の可能性がないかを判断し、検査や高次医療機関への紹介を行います。
一方で、熱がない発作や、発作が繰り返される場合には、てんかんを含めた整理が必要になります。気になる症状がある場合は、発作の状況(前後の様子、持続時間、左右差、意識の回復)を一緒に確認しながら、適切な評価につなげていきます。
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