
皮膚の病気
皮膚の病気
生後2週間〜6か月ごろをピークに、1歳頃までの赤ちゃんに最もよく見られる湿疹です。赤いブツブツ、かさつき、ジュクジュクなど見た目はさまざま。黄色っぽいかさぶたやベタつく赤みが主体のタイプは脂漏性湿疹と呼ばれます。顔(とくに頬)・頭皮・首まわり・体幹に出やすく、かゆみは軽いことが多いものの、掻くと悪化します。
皮脂分泌の変動や、汗・唾液・ミルクの付着、衣類やタオルの摩擦など外的刺激が重なりやすい時期に起こります。また、皮膚のバリア機能が未熟なため、少しの刺激でも炎症が起こりやすいのが特徴です。
ほとんどは数週間〜数カ月で自然に軽快しますが、上記のような症状があれば早めに受診してください。
おむつかぶれは、おむつで覆われるおしりから股、外陰部にかけて、皮膚が赤くただれたりジュクジュクしたりする湿疹です。症状が長引くと、境目がくっきりした小さな発疹やびらんが現れ、カンジダ(カビ)の二次感染を起こすこともあります。
主な原因は、尿や便に含まれるアンモニアや消化酵素による化学的刺激と、おむつ内の高湿度や摩擦です。乳児の皮膚はバリア機能が未熟なため、わずかな刺激でも炎症が起こりやすく、皮膚がふやけたり微小な傷ができたりすると炎症が悪化します。通気性が低いおむつや肌着の使用、洗浄や保護が不十分であることも発症・悪化の一因となります。
蕁麻疹は蚊に刺されたような盛り上がった赤い発疹(膨疹〈ぼうしん〉)が最大の特徴です。発疹は円形や地図状などさまざまな形をとり、強いかゆみを伴います。身体のどこにでも出現し、短時間で移動したり広がったりすることが多く、通常は 24時間以内に跡を残さず消失します。ただし、新しい発疹が次々に出ると全体としては数日続くこともあります。発症から6週間以内を「急性蕁麻疹」、それ以上続く場合を「慢性蕁麻疹」と呼び、治療方針が異なります。
蕁麻疹は、ヒスタミンなどの化学物質が血管を拡張させ、血漿が皮下に漏れ出ることで発疹が生じます。原因は非常に多彩で、
などが挙げられます。急性蕁麻疹ではウイルス感染や食物が、慢性蕁麻疹では特発性や物理的刺激が関与することが多いとされていますが、半数以上は明確な原因を突き止めることが難しいのが現状です。
蕁麻疹のかゆみと発疹を抑える第一選択薬です。
患部を冷たいタオルでそっと冷やすとかゆみが和らぎます。熱い入浴や激しい運動は症状を悪化させることがあるため、発疹が落ち着くまでは控えめにしましょう。
発疹が出る前後に食べた物、感染症、疲労、発汗、衣類の締め付けなどをメモしておくと、再発時に原因を推定しやすくなります。特定の食品や薬剤が疑われる場合は、医師と相談して除去や代替を検討します。
とびひは、皮膚にできた小さな傷や湿疹に細菌が入り込んで発症する感染症で、正式には「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」と呼ばれます。水ぶくれ(水疱)やかさぶたを伴う黄色〜褐色の発疹が急速に広がり、強いかゆみを訴えるのが典型的です。ひっかくことで菌が爪や手に付着し、文字通り“飛び火する”ように別の部位へ次々に拡大します。夏場に多発しますが、年間を通じて注意が必要です。
主な原因菌は、黄色ブドウ球菌と溶血性レンサ球菌(溶連菌)の2種類です。
いずれの場合も、虫刺されやあせも、アトピー性皮膚炎などで搔き壊した部分から菌が侵入しやすく、汗や高温多湿の環境が発症を後押しします。
医師の診断に基づき、原因菌の種類や重症度に合わせて抗菌薬を内服します。軽症で限局していれば抗菌薬入り軟膏のみで治ることもあります。
1日1回は石けんで泡洗浄し、流水でやさしく汚れと菌を洗い流します。水疱が破れている場合は滲出液を軽く押さえ、清潔なガーゼで覆って掻き壊し・接触感染を防ぎます。
かゆみで掻くと菌が拡散します。爪は短く丸く切り、こまめな手洗い・手指消毒を徹底しましょう。兄弟や園児間でタオル・衣類を共用しないことも大切です。
とびひが治ったあとも、湿疹やあせもが残っていると再発しやすいので、保湿や適切な外用薬で皮膚バリアを整えます。
水いぼはポックスウイルスの一種(伝染性軟属腫ウイルス)が皮膚に感染してできるウイルス性の小さなイボです。脇腹・わきの下・ひじの内側・膝裏などこすれやすい部位にみられ、痛みはほとんどなく、かゆみは軽度〜中等度ですが、引っかくと数が増えたり、とびひ様に二次感染することがあります。自然に免疫が付いて1〜2年で消えることもありますが、保育園・プール通いのお子さんでは数が増えやすく、見た目やかゆみから治療を希望されるケースが多い疾患です。
ウイルスが皮膚の小さな傷や毛穴から入り込み、増殖することで発症します。皮膚と皮膚の直接接触やタオル・衣類の共用でうつります。アトピー性皮膚炎などで皮膚バリアが弱い場合は感染しやすく、治りにくい傾向があります。
治療法 | 概要 | 注意点 |
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M-BFクリーム外用 (当院の第一選択) |
イミキモド様作用で皮膚免疫を活性化し、いぼを徐々に縮小・自然脱落へ導く |
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ヨクイニン (漢方:薏苡仁)内服 |
ハトムギ由来の生薬で新陳代謝を促すとされる |
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摘除 (専用ピンセットでのつまみ取り) |
医療用ピンセットで水いぼの芯を物理的に除去 |
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液体窒素(凍結療法) | 196°Cの液体窒素で患部を凍結壊死させる |
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当院では、「痛みが少ない」「自宅で継続しやすい」という観点からM-BFクリームを基本治療とし、必要に応じて摘除・液体窒素を併用します。ヨクイニンは補助療法として提案するものの、単独での十分な効果は限定的です。
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