薬の使い方|愛知県豊田市の小児科|永覚Kidsクリニック|予防接種・乳幼児健診
薬の「基礎知識」と「正しい飲ませ方」
~安心してお子さんに薬を飲んでもらうために~
薬を飲ませる前に知っておきたいこと
- 小児科でよく処方される咳止め・鼻水を抑える薬・整腸剤などは、病気そのものを治す薬ではなく、つらい症状をやわらげて楽に過ごせるようにするためのお薬です。
- 解熱剤(熱を下げる薬)も病気を治すものではありません。お子さんがつらそうなときなど、必要な場面で使うことが大切です。
- 一方で、抗生物質(抗菌薬)は細菌をやっつけるための薬です。処方されたとおりの回数・日数をきちんと守ることがとても大切です。
- 薬を飲ませるときは、医師の指示に従うのが最も安全です。同じ病名でも症状や体調によって処方内容が変わることがありますので、前に余った薬を自己判断で使うのは控えましょう。
指示どおりの飲み方を守る重要性
- 小児科では、お子さんの体重や年齢に合わせてちょうどよい量を処方しています。
- もし飲み忘れてしまっても、「朝を忘れたからお昼にまとめて飲ませる」ことは避けてください。多く飲ませすぎると副作用につながることがあります。
- 兄弟で症状が似ていても、体格や病気の状態はそれぞれ違います。薬を使いまわすことはやめましょう。
- 「食前」「食後」「寝る前」などのタイミングには、理由があります。指示通りに飲まないと、効果が十分に出ないことがあります。
薬の剤形(形)ごとの特徴と飲ませ方
薬は形状(剤形)によって飲ませやすさ・管理のしやすさが異なります。以下に代表的な剤形とその上手な使い方をまとめました。
各剤形の具体的な飲ませ方・使い方のコツ
粉薬(散剤・ドライシロップ)の飲ませ方
- 薬袋から適量を手のひらに出し、少量の水で「おだんご状」にまとめます。
- 赤ちゃんや小さい子どもには、そのおだんごを「上あご」や「頬の内側」に軽く触れさせるようにして溶かしながら飲ませてください。
- 粉薬が苦手な子には、市販の薬用ゼリーに混ぜたり、シロップに溶かして飲ませるなど工夫できます。ただし、薬によって混ぜるものの相性がありますので、事前に医師・薬剤師に確認をしてください。
注意:粉薬をジュースやヨーグルトに混ぜ、時間を置いてから与えることは避けます。薬の成分が変質したり、効果が変わる可能性があります。
シロップ(液体薬)の飲ませ方
- 赤ちゃんや哺乳期児には、スポイトや注射器で少しずつ舌の上に垂らすように与えます。
- 離乳食が始まっている年齢では、スプーンで数回に分けて与えると飲ませやすくなります。
- 与える前にボトルをよく振りましょう。
- 開封後は細菌繁殖のリスクがあるため、1週間~10日を目安に使い切る、または破棄するようにしましょう。
- お子さまの手の届くところに置くのは避け、甘い飲み物と勘違いして誤飲しないように保管にも注意が必要です。
坐薬の使い方(通常は解熱や吐き気止めで使われることがあります)
- 包装から坐薬を取り出し、先端に少量のベビーオイルや食用油を塗って滑りをよくします。
- 肛門の穴にゆっくり挿入し、指で1分程度軽く押さえて保持します。
- すぐに出てきてしまった場合は、再度丁寧に挿入してください。
- 挿入後10~15分ほど経過してから排便があれば、ある程度薬の成分は吸収されたと判断されます。持続的な症状がある場合は、次回の使用間隔を守ったうえで使用してください。
目薬(点眼薬)の使い方
乳幼児の場合
- 仰向けに寝かせ、保護者が足で頭を軽く固定すると安定します。
- 目を閉じた状態で、下まぶたの内側に 1 滴たらします。
- その後、まばたきをさせるか、涙の中に薬が溶け込んで目に広がります。
- 泣いているときは薬が流れ出やすいので、寝ているときや落ち着いているときに行うと効果的です。
年長児以上の場合
- 椅子に座らせて上を向かせ、下まぶたをそっと引き、そこに 1 滴落とします。
- 「あっかんべー」のポーズをさせると入れやすくなります。
複数の点眼薬を使う場合
- 薬によって順番が指定されることがありますので、医師や薬剤師の指示に従ってください。
- 基本的には 5分程度の間隔をあけるのが目安です。
塗り薬(保湿剤・外用薬)の使い方
- 塗るタイミングはお風呂上がり5分以内がベストです。皮膚がまだしっとりしているうちに塗りましょう。
- 使用量の目安:FTU(指先ユニット)
・大人の人差し指の先端から第1関節まで絞り出した量を1FTUといいます。
・ローションの場合は1円玉大が1FTUに相当します。
・1FTU で 大人の手のひら約2枚分の広さ に塗ることができます。

- 塗りたい部位に数か所にわけて”点置き”して、手のひら全体でやさしく伸ばしましょう。こすり込まず、薄い膜をのせるイメージで。
- 複数の薬がある場合は、治療薬(ステロイド・抗菌薬など)→保湿剤の順で重ねます。
- 処方どおりの回数と期間を守り、良くなっても自己判断で急に中止しないようにしましょう。
保管・管理上の注意点
- 誤飲や誤用を防ぐため、お子さまの手の届かない場所に保管する。
- 湿気・直射日光・高温多湿を避ける。
- 使用期限・開封後の使用可能期間を守る。
- 複数の薬を保管する場合は、ラベル・名前などを確認し間違えないように管理する。
- 他の薬と混ぜて保管しない(混ざってしまうと誤飲リスクが高まります)。
よくある質問と注意点
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薬を飲むのを嫌がる場合は?
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飲みやすい工夫(ゼリー混ぜ、少し甘くして飲ませるなど)や、少量ずつ与える方法を試します。ただし薬の性質によっては混ぜ方に注意が必要です。
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飲み忘れたらどうする?
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指示された間隔や量を守ったうえで、可能な場合はすみやかに飲ませる。ただし次の服用時間が近い場合は、無理に追加せず、医師に相談してください。
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市販薬と併用してもいい?
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原則、自己判断での併用は避け、必ず医師・薬剤師に相談してください。飲み合わせや子どもへの安全性の面で注意が必要です。
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薬の種類を途中で変更してもいい?
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症状が改善したように見えても、自己判断で薬を変えたり中断したりせず、必ず医師の指示を仰いでください。